大手証券会社、外資系製薬会社を経て、fundbookで得た “納得感”「人生をかけて取り組みたいと思える仕事に出会えた」
営業職とは、本来お客様に貢献できる商品やサービスをご提案する仕事。しかし、いつの間にか会社や組織の利益を優先した提案になってしまうことがあります。ビジネスパーソンとして、本来目指すべきことは何なのかーー。
大手証券会社で富裕層向けのリテール業務を経験し、外資系製薬会社のMRを経て、未経験でfundbookのM&Aアドバイザーに転身した十亀。彼が大事にしていたのは「お客様を幸せにするものだと心から納得できる仕事がしたい」ということ。fundbookに入社するまでの経緯やM&Aアドバイザーとしての想い、そして今後のキャリアについて聞きました。
※撮影時のみマスクを外しております
<Profile>
十亀 秀仁(そがめ ひでひと)
愛媛県出身。現在32歳。同志社大学経済学部卒。SMBC日興証券株式会社入社。リテール業務に従事し、口座開設件数全社1位等、トップクラスの成績を記録。銀証連携を担う三井住友銀行担当を兼務。その後、米系製薬企業日本イーライリリーに入社し、主に新薬上市業務に従事。所管エリアにて、初日売上、口座開設件数ともに全国1位を記録。2017年最優秀学術賞(全国1位)を受賞。2度の海外インセンティブを含め、数多くの受賞歴を有する。2018年6月にfundbookへ入社。
自分が“納得できる仕事”を探し求めて
証券会社に新卒入社されるまでの経緯をお聞かせください。
十亀:一つのことに没頭するより幅広い経験を積み重ねたいという考えから、大学では応用の効く経済学を専攻していました。就職活動では、周囲の友人の多くが金融系の企業を中心に受けており、私もその例外ではなく、メガバンクをはじめとする銀行や証券会社などを希望していました。私が就職活動をするうえで軸にしていた考えは「実力をフェアに評価される環境で仕事をしたい」でした。確かにメガバンクは将来の安定性や高い社会的信頼度がとても魅力的ですが、私は自身の可能性を最大限に活かすことができる環境で幅広く挑戦したいと思いました。そこで努力と成果がフェアに評価されると考えた証券会社をファーストキャリアとして選択したのです。
証券会社ではどのような仕事をされていましたか。
十亀:中堅企業の経営者やその地域の富裕層の方に対して、資産運用のコンサルティング営業を行なっていました。当時は政府主導の様々な経済政策が行われ好景気と言われていた時代。上司や先輩にアドバイスをもらいながら創意工夫した自発的な取り組みが好景気に後押しされ、順調に成果を収めることができました。そのため、会社が好調のなか営業成績上位者として評価をいただいていました。一方で、生涯続けていく仕事ではないと同時に思いました。「なぜか?」と聞かれると、これはあくまでも個人的な意見ではありますが、“納得度が低かった”というのが大きいですね。
納得度が低かった…。成績上位者としてご活躍されていた背景にはそのような想いもあったのですね。
十亀:提案している金融商品がお客様にとって有益な商品だという確信をもてなかったことが大きい要因でした。会社の方針として「この商品を提案していく」と決まれば、組織に属している以上従うのは当然のことです。自分自身を納得させることに努めましたが、心のどこかで納得しきれずにいましたね。営業活動が順調でもお客様に貢献できているという実感はもてませんでした。
そのような気持ちでしたので、2年目になってからは最低限のノルマは達成していたものの、仕事そのものに魅力を感じられなくなっていました。業績好調で社内が盛り上がっているのにも関わらず、自分だけが乗り切れない…モヤモヤした気持ちを抱えていたのです。
そして、製薬会社のMRに転職をされたわけですね。当時の転職活動で大事にしていたことを聞かせてください。
十亀:私のなかで“心から納得できる仕事”が一つのキーワードでした。その過程で出会ったのが、MRの仕事です。製薬会社が扱う薬品は、臨床試験で有効性と安全性が確認されています。不確定要素が高いと考えていた金融商品との違いを感じ、“やればやるだけより多くの患者さんを助けることができる”というところが魅力的で決め手となりました。
入社してからもその違和感はなく、日々やりがいを感じていました。外資系企業ということもあって、英語を話すことが堪能な社員や、MBAを取得している上司など、憧れる社員が多い環境でしたね。このような向上心を刺激されるような環境でキャリアを歩んでいけたらと考えていました。
fundbookなら、“会社と共に、自身の可能性が広がっていく”と確信
そこからfundbookに転職をされたわけですが、どのような経緯があったのでしょうか。
十亀:これは本当に偶然なのですが、ある時手に取った週刊誌に掲載されていた、大手M&A仲介会社の記事が目に留まりました。後日その会社のホームページの写真を見たら、証券会社時代の同期が写っていたんです。連絡先を知っている間柄だったので連絡をし、久しぶりに会おうという話に。そして、業界に関する話を聞いたのをきっかけに、元々経済学を大学で学んでいた事もあり、自然とM&A業界に興味をもち始めました。
後継者問題の解決策、中小企業の成長戦略の一つとしてM&Aという選択肢があり、事業を存続させ、さらに拡大させることができること。ここにビジネスとしての面白さと社会貢献への可能性、また自身のキャリアにおいても「何か新たな成長ができるかもしれない」と感じました。
M&A仲介といっても、多くの企業があります。fundbookへの入社を決めた理由は何でしょうか。
十亀:おっしゃる通りで、その同期から紹介してもらったエージェントより、複数のM&A仲介会社を紹介されました。その一つがfundbookでした。最終的に入社を決めた理由は“多くの経験を積める環境が整っており、自身の可能性を最も広げることができるのではないか”と思ったためです。
fundbookのビジネスモデルの特徴の一つに「特化型分業モデル」があります。通常一人で行なわれるM&Aの各工程を専門特化した6部門で成約までサポートすることで、M&Aアドバイザーは業務負荷を軽減し顧客との接点を増やすことができ、細部まで行き届いた丁寧なサポートで顧客の利益最大化にコミットできます。
これからM&Aアドバイザーとして経験を積むことを考えたとき、どれだけ多くの案件に携わることができるかが知識や経験という面から大きな価値になると思ったので、このビジネスモデルをもつfundbookへの入社を決めました。
また、何を仕事にするのかも大事ですが「どういう人と働きたいのか」も重視しています。fundbookには、あらゆる業界にて前線で活躍してきたとても優秀な先輩方が集まっています。そのような方々とこれまで業界に存在していた「型」に囚われない取り組みで進化していくことに「夢があるな」ととても魅力を感じました。
なるほど。では、大手証券会社、外資系製薬会社と経験をされてきて、ベンチャー企業を選ぶことに不安はありませんでしたか。
十亀:正直に言うと、創業したばかりの企業への入社に対して不安も感じました。しかし入社当時はまだ20代でしたので、例え失敗したとしてもやり直しができると思い、不安よりも興味や知的好奇心、向上心や成長意欲が強く”やってみたい”と心から思ったことをチャレンジしてみようと考えました。
入社してからは、とにかく量をこなしました。未経験でのスタートですから、経験も知識も業界経験者に比べ劣ります。少しでも周りに追いつけるようにと、週末も個人学習などに時間を費やしていました。私が大事にしている考えの一つに“量は質に転化する”というものがあります。証券会社時代の上司から教わったことですが、今でも働くうえで心構えにしていることです。「何かを極めよう。その道のプロであろう。」と考えるならなおのこと。量をこなさなければ、質は上がらないと考えています。週末はだいたい、fundbookのオフィスの会議室に来て勉強をしていました。同僚から「十亀はいつもオフィスにいる」と言われることもあったぐらいです(笑)
そういった一つ一つの努力が少しずつ成果につながってきて、仕事の手応えや面白さを感じられるようになってきた頃、組織もどんどんと拡大していきました。増員されたメンバーを取りまとめるリーダーを任されたり、大阪支社の立ち上げメンバーに選んでいただいたりと…新しいことにチャレンジできる環境がとても刺激的で面白かったですね。会社の可能性も、自分のキャリアの可能性もさらに広がっていくような感覚でした。
大阪支社の立ち上げについては、既存のお客様はおらず、ゼロから開拓していかなければいけない状況にプレッシャーはありましたが、土地柄的な安心感は大きかったように思います。というのも、私は愛媛出身で関西の大学を卒業していることもあり、関西はとても馴染みのある土地。経営者の方とのコミュニケーションでも、地域ならではのアプローチができるのではと考えていました。東京とはまた違った環境で働くことができ、貴重な経験ができていると感じています。
これだけ誰かに喜んでもらえる仕事はそうない
M&A業界未経験メンバーの中でいち早くリーダーに昇格したとお聞きしました。成果を出すために、意識していることはありますでしょうか。
十亀:1つが「商談の準備」ですね。お客様に対して一つの提案をするにしても、シナリオは千差万別です。これだという正解やマニュアルはなく、それぞれのお客様にご納得いただける内容と伝え方を追究しています。そのため、上司に対しても、この提案はどう思われるか?、これについては何が懸念点になるか?…とよく相談していますね。おそらく、周りから見たら面倒くさいタイプではないでしょうか(笑)
納得のいくまでやり続けることが私の信条。「これがベストな提案だ」と自信をもてるまで内容を突き詰めることが、経営者や従業員など多くの関係者の未来を担うM&Aアドバイザーの心がけとして必要なことだと考えています。
また、先ほど「とにかく量をこなす」という話をしましたが、ただ働くだけでなく、睡眠時間を確保することも意識しています。プロとして最高の商談を行なうために、体調管理も必要です。せっかく商談内容に関する準備をしていたのにも関わらず、寝不足で頭が回らず即座に回答できない。それだけで信頼性を損ね、商談が進展しないことがあります。睡眠時間の量も商談でのパフォーマンスに影響するのです。
そして、M&Aアドバイザーという職種においては、報酬額の大きさを重視する人が多い傾向にあります。そのため「とにかく稼ぎたい」や「収入をアップさせたい」と考え転職する人が多くいるのも現状です。しかし、それでは長続きはしません。M&Aアドバイザーとして成功を収め続けたいと思うなら、お客様の成功を最優先に考え、本質的な提案をしていかないと難しいと思っています。
お話を聞いていて、“自分が心から納得できる仕事”が、十亀さんの仕事の哲学なのだと感じました。
十亀:そうだと思います。M&A仲介のビジネスは、譲渡・譲受企業双方の全ての関係者からの合意がなければ、次のステップへ進むことはできません。その案件に関わる全ての人が納得して初めてM&Aの成約につながります。私が担うM&Aアドバイザーは、M&Aに関わる全ての人を成功に導くお手伝いをしています。そのためには、まずは自分が納得できるまで向き合うことが必要ですし、お客様にも希望溢れる未来につながる決断をしてもらいたい。そこにこそ、最高のやりがいがあると感じています。
もちろん簡単ではありません。常に学び続ける姿勢が大切ですし、そこには多くの時間を費やすことになります。正直を言えば、プライベートの時間も少なくなるでしょう。しかし、その分得られる喜びは大きい。この仕事を通じて出会えたお客様とは、一生のご縁を築くことができています。
数年前にお取引をさせていただいたお客様から、今でもご連絡をいただきます。電話で近況のご報告をいただいたり、お食事に誘ってくださったり。ご紹介で新しいご縁をいただくこともあります。「あの時は、本当にありがとう。」と今でも感謝の言葉をいただけるのです。これだけ誰かに喜んでもらえる仕事はそうないと思っていますね。
月並みな言葉ですが、自分たちの会社だけが成功するような仕事はしたくないというのが私の想いです。お客様の成功のうえに成り立つ会社でありたい。M&A仲介はそれを体現したビジネスモデルだと思っています。
最後に十亀さんの今後のビジョンについてお聞かせください。
十亀:fundbookは、入社当時から比べ現在は300人規模の大きな組織となりました。しかし、まだ設立から4年目と若く成長もこれからの企業です。組織の一員として、会社の成長に貢献できる人材でありたいと思います。
私は新卒で大手証券会社に入り、その後外資系の製薬会社に転職し、そしてfundbookへと転職をしてきました。今回のインタビューの中で、fundbookに入社するとき「ベンチャー企業に入社することに不安を感じた」とお伝えしました。しかし、不安な気持ちを抱えたまま過ごすのか、この環境をチャンスと捉え自分の居場所へと変えていくのか、それは自分次第です。これから先、M&Aアドバイザーとしてお客様の成功を積み重ね、これまで以上に会社を大きくしていきたい。あのときの「答え」は自分で創っていきます。