【Professional Story】銀行員からM&A業界へのキャリアチェンジ。「会社としてではなく、一個人として信頼していただける」M&Aアドバイザーのやりがい。

これまでは安定している業界として知られていた銀行業界でしたが、昨今では長引く低金利政策や地方銀行の再編など、厳しい環境が続いています。

そのような環境下で、転職を考える銀行員のセカンドキャリアとして注目されているのがM&A業界です。

 

当記事では新卒で株式会社三菱UFJ銀行に入行し、2021年5月にfundbookに参画した小川に、なぜセカンドキャリアとしてM&A仲介業界を選んだのか、銀行員がM&A仲介業界で活躍できる理由について聞きました。


 

<Profile>

小川 浩正(おがわ ひろまさ)

 

愛知県出身。静岡大学卒業。大学時代まで一貫して野球に取り組み、キャッチャーとして全国大会に出場。新卒で株式会社三菱UFJ銀行に入行。国内営業支店にて、中堅中小企業に対する事業承継スキームの立案・ファイナンスの実行や、上場企業・PEファンドに対するMBO・LBOスキーム立案、買収ファイナンスの実行に従事。法人担当として、4年連続で営業予算を達成するとともに、複数の社内賞を受賞。2021年5月にfundbookへ参画。2年目となる2022年上半期で売上2億円を達成。

 


 

「何者でもないまま終わりたくない」とメガバンクからfundbookへ

学生時代は野球に打ち込んでいたとお聞きしましたが、就職活動はどのように進めましたか。

小川:野球ではキャッチャーを務めていたので、常に試合の流れや配球などを考え続けるポジションだったこともあり、「頭を使って、困難な問題へ挑戦できそう」という漠然としたイメージで銀行を志望しました。

当時は銀行がどんな仕事をしているかも知らず、正直に言ってしまうと就職活動は「知っている会社」だけを見ていました。ずっと野球に打ち込んでいたので、普通の社会人として働くイメージも持っていなくて。三菱UFJ銀行を志望したのも、よく名前を知っている有名な銀行だからでした。

 

銀行ではどのような仕事をされていましたか。

小川:法人営業を担当していました。法人営業は業務範囲が広いため、まずはすべての業務を経験したいなと。お客様の課題に対して自分の言葉で説明できるようになりたいと考えて、3年目以降のキャリアでも、配属先として法人営業を志望していました。

 

転職を考えたのはいつ頃で、どんなきっかけがあったのでしょうか。

小川:転職を考えたのは、「仕事に見合った給料をもらえているのか」と疑問に感じ始めたのがきっかけでした。支店のなかで大半の収益を上げている上位2割にいても、成果を出していない人との給与差がほとんどないのはおかしいなと。

 

また銀行では、お客様のためにならないサービスを提供することがあり、このノルマが非常にストレスでした。

入社3年目くらいから転職サイトはチェックしていたのですが、異動の時期が近づいてきたタイミングで本格的に動き始めました。

 

M&A仲介を選んだ決め手は何でしたか。

小川:もともとM&A仲介か戦略コンサルで悩んでいたのですが、転職活動で大事にしていたことが「24時間働きたいと思える仕事かどうか」で、そこにマッチしたのがM&A仲介でした。

 

戦略コンサルも仕事内容には非常に興味があったのですが、役職で給与が決まる部分が銀行員時代と重なってしまい、努力した分だけ稼げるM&A仲介なら24時間を仕事に捧げられると思ったのが決め手です。

 

メガバンクから比較的若い会社であるfundbookに移ることへの抵抗はありませんでしたか。

小川:銀行員時代に、ネームバリューはなくても優良な中小企業はいくつも見てきたので、会社規模は気にしていませんでした。

 

むしろ、銀行は僕たちの世代でも安定して勤め上げることができる組織だと思いますが、僕にとっては「何者でもないまま働き続ける」ことのほうが恐ろしかったです。

銀行は良くも悪くも組織として完成されているため、誰もが代わりのきく人材になります。言い方は悪いかもしれませんが、個人として最大限に価値を発揮できる環境ではないと感じていました。

 

会社ではなく「小川さんに任せます」と託されたやりがい

入社後に感じた銀行員時代との大きな違いを具体的に教えてください。

小川:想像していたより個人の裁量権が大きく、自由に仕事ができることです。銀行で新しい取り組みを始めたいと思っても、すぐには実現できません。行内の根回しから始まり、関係各部との調整、場合によっては部署異動など、途方もないプロセスと時間がかかります。

 

fundbookでは自分がやりたいと思ったことを受け入れてくれる環境が整っており、上司もスピーディーに判断をくだしてくれるので、内部調整に手間を取られることもありません。銀行と比べて役員との距離感も近く、とにかくスピード感があるのが大きな違いですね。

 

銀行は手続きに時間がかかる一方で、ソリューションが豊富で選択肢が多い印象があります。その点でギャップは感じませんか。

小川:銀行はソリューションを持ってはいますが、それをすべてのお客様へ100%提供できるかといえば、そうではありません。例えば「取引価格○億円以上でないと、このスキームは提供できない」といった基準が多く、お客様の企業規模や案件規模によって提供できるソリューションが変わり、サービスの質が変わってしまうこともあります。

 

その点で今の仕事は、お客様の企業の規模感を問わず、『経営課題を解決する』という明確な目的のために役務提供ができるので、やりやすさを感じます。

 

また、銀行では支店によって商圏が定められているため、エリア外のお客様には原則接触できませんが、M&A仲介では業種やエリアに縛られることがないため、自分の頑張り次第で多くのお客様と接点を持てるのが魅力ですね。

 

逆にfundbookでの仕事と銀行員時代を比べて「銀行のここが優れていた」と感じる部分はありますか。

小川:「会社の看板」です。とくに初対面の人から得られる信用度は、銀行のほうが圧倒的に上です。同じことを伝えたとしても、銀行とfundbookでは受け取られ方が全く違います。

 

ただ、お客様とのやり取りを進めていくと、会社ではなく一個人として信頼していただけるので、そこは大きなやりがいとなります。

 

例えば、とある案件では、もともと譲渡に前向きではないお客様でしたが、経営課題を明確にし、お話を進めるなかでご納得いただき、「条件調整は小川さんに任せます」と一任していただきました。銀行員時代は、取引のベースが銀行に対する信用だったので、重要な決断だからこそ、個人として信頼を得られたことに大きな責任とやりがいを感じました。

 

M&Aアドバイザーとして働くなかで、銀行員時代の経験が活きていると実感する部分はありますか。

小川:M&A仲介において非常に重要なことのひとつに「お客様のビジネスモデルを理解すること」が挙げられますが、それを確認するためのポイントが銀行員時代の経験からすでに得られているのは大きいと感じます。

 

例えば、譲渡企業の場合には企業の概要を記載した企業概要書を作成するのですが、その際にこの企業の強みは何なのか、どうしてビジネスとして成り立っているのか、どんな企業と組むと相乗効果が生まれるのかなど、事業の本質をヒアリングする能力は銀行時代の経験が活きていると思います。

 

また、経営者に対して銀行視点での話ができることは大きいと思います。経営者のなかには財務に明るくない方もいらっしゃいますので、そうした方々にレクチャーをしていると事前にネックとなり得る点を整理できたりしますからね。

 

目標は「当たり前のことを高次元で体現できるプレイヤー」

どんな人がM&Aアドバイザーに向いていると思いますか。

小川:胆力のある人ですね。業務は常に土壇場で、対応力だけでなく運の要素も必要となります。ですから、結果が出ていなくても自分を信じてやりぬけるかがとても重要です。

 

また、24時間働く覚悟を持って業務に臨めるかが、成果への分かれ目になると思います。頭をずっとナチュラルにオンの状態にしておいて、日常のあらゆる場面からヒントを探し、気になることがあったらすぐに調べる癖をつけています。

 

先日の案件でも、銀行員時代のM&Aの経験を振り返ることで成果に繋がるということがありました。常に発想と試行錯誤を繰り返さないと、「運」を引き込むことはできません。1%未満の可能性について、ソーシングし続ける胆力が必要だと思います。

 

先輩を見ていると、経験を積んでいけばオンとオフの切り替えもうまくできると思いますが、僕はまだまだ未熟なので、今はオンのままで走ったほうがいいと考えています。

 

同じ銀行出身者でM&A業界への転職に悩む人がいたら、どんなアドバイスを送りますか。

小川:自身の経験も踏まえてですが、「M&Aの世界で働いて後悔している人はいないよ」ですね。僕の周りにも銀行からの転職者は多くいますが、銀行を辞めて後悔している人はいないですね。

 

最後に、M&Aアドバイザーとしての今後のビジョンを教えてください。

小川:「当たり前のことを高次元で体現できるプレイヤー」を目指しています。

 

M&Aアドバイザーの付加価値のひとつとして、お客様に安心して決断していただくための判断材料の提供があると考えています。経営者の仕事は「決断すること」であり、僕らの仕事は「決断のための材料をどれだけ出せるか」になります。それは譲渡の候補先であったり、承継の選択肢であったり、お客様によって異なる部分はありますが、お客様の納得のためには、高いレベルでの情報提供をしなければいけません。

 

営業職にとっての究極は、信頼を構築したうえで、交渉を行わずに成約に至ることだと思っています。もちろんこれは理想論ですが、いかに交渉の場を少なくするかをずっと意識して仕事に取り組んでいます。お客様にとってのネックを正確に把握し、丁寧に解決していけば、自然と案件は進行していくからです。

 

結果として、同じ候補先・同じ条件で決まったとしても、その過程でお客様に深く納得していただき、他のアドバイザーよりも納得感を持っていただけるプレイヤーを目指したいです。

fundbookでは、M&Aアドバイザーを積極的に採用しています。

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