【New Member Story】義実家の後継者問題を目の当たりにし、M&Aアドバイザーとしてのキャリアを志す。

日本国内の加速する少子高齢化や人口減少により、中堅中小企業の後継者不在問題は深刻化しています。大廃業時代到来の可能性が高まる中、これを解決するソリューションのひとつとしてM&Aが注目されています。

 

当記事では、義実家が営む100年以上続く老舗企業の後継者問題を目の当たりにして、こういった後継者問題をM&Aアドバイザーとして解決していきたいと意気込み、この業界に飛び込んだ岩下に、その決断について聞きました。


 

<Profile>

岩下 仁(いわした じん)

 

石川県出身。関西学院大学理工学部卒業。2014年に入社したSMBC日興証券株式会社にてリテール営業に従事し複数の社内賞受賞。入社時より上位成績を継続し、社内最年少で上級クラスへ昇格。2020年、株式会社ジェーシービーにて大企業向けクレジットスキームのアライアンス業務に従事。取扱高1000億円超案件など複数の大型プロジェクトに参画。企画、提案から開発や販売促進などを経験。中小企業診断士を目指す中、義実家の後継者問題を目の当たりにし、2022年株式会社fundbook入社。

 


 

20代での経験を、30代で自分の形にしていきたい

新卒で入社したSMBC日興証券には約6年半勤務したそうですが、証券会社を選んだ理由を教えてください。

岩下:就職活動の軸として掲げていた「自己成長に繋がり、人に感謝される仕事」「広い視野を持てる業種」「結果重視の社風」を満たす会社として、証券会社を志望しました。

 

証券会社では、経営者や医師等、通常話をする機会のない経験値を持つ方々と接することができるので、自らの視座が上がりより早く大きく成長できると期待しました。

 

証券会社時代で、最も印象に残っている仕事を教えてください。

岩下:引き継ぎをしたお客様で、以前の担当者の提案が良くなかったために預入資産の8割を失われていた社長の件が印象的です。

当初は電話も無視され、挨拶もできないような状態でしたが、接点を持つために1年間かけて、少しずつ関係性を近づけていきました。

 

結果的には、元々の預かり資産の稼働だけでなく、他証券会社の資産やご家族の資産もまとめてお預けいただいた経験はとても印象に残っています。

 

信頼を大きく損ねていた状態から、他社に預けていた資産を取り込めるほどの関係を構築できた要因は何でしたか。

岩下:一番は、めげなかったことだと思います。お客様の立場になり、何を求めているのかを考え続けました。

最初はお話もできない状態でしたが、お客様と話をするために業界や財務等相手のことを勉強して話の種にしたり、当時の自分には関係のない他社資産のフォローを行ったり、お土産を買ったりと、お客様にとっての最良のパートナーになれるよう様々な工夫を重ねました。

その後、JCBへ転職されていますが、転職を志した理由を教えてください。

岩下:6年目に社内でも最速で昇格を果たしましたが、改めて振り返ると少しずつ自分の成長曲線が緩んでいる感覚がありました。

日頃から「人生100年時代」とお客様に語りかけているのに、20代後半で自分の成長は止まるのかと焦燥感が芽生え、「目線を広げられるような仕事をするべきだ」と転職を決意しました。

 

JCBを選んだ理由は、新しい決済サービスを世の中に生み出せる等、世の中へ与える影響が大きい仕事に携われると感じたからです。仕事の内容も一対一の営業から、多くのステークホルダーに対して複雑性の高い提案をする業務に変わりました。

 

JCBでは数百億円以上を動かす巨大プロジェクトに携わってきたそうですが、再び転職を志したきっかけは何でしたか。

岩下:大きなプロジェクトの完遂と、社会に新たなサービスを普及させた喜びはあったのですが、一方で普及したサービスの背景で自分の仕事が埋もれてしまう寂しさもありました。

 

自分はやはりお客様の喜びを間近で感じられる仕事にやりがいを感じるという気持ちが強くなり、M&Aアドバイザーを志しました。当初は、プロジェクトの区切りのタイミングもあり、通常の仕事をしながら中小企業診断士の取得を志しました。1年での取得は叶いませんでしたが、30歳の区切りで再び転職活動を始めました。

自分のキャリアプランも、20代でいろいろな経験を積み、30代で自分の形にしていきたいという目標だったので。

「後継者問題」を目の当たりにしたことでM&A仲介の道へ

M&A仲介が転職先の選択肢に入ったのはいつ頃ですか。

岩下:実は最初の転職活動のときにも、M&A仲介は選択肢にありました。

ただ、証券会社とM&A仲介では「経営者に対して提案する」という仕事のスタイルに大きな変化がないため、そのときは全く異なる経験ができるJCBを選択しました。

 

個人や経営者を相手にした営業職は他にもありますが、そのなかでM&A仲介を選んだ理由を教えてください。

岩下:大きく2つあり、まず転職活動の軸でもあった「信頼され、感謝され、自身も評価される仕事」とM&A仲介がマッチしたことです。

 

経営者と企業の将来に寄り添うM&Aアドバイザーには、重い責任と広い知見が求められます。

つまり、自分の仕事が直接信頼へと繋がり、感謝される。また、その信頼・感謝の積み重ねは直接自身の評価に繋がる。ただ、当然ながらそのためには自己成長し続けなければならない。そんなやりがいのある仕事だと思いました。

 

特にこれまでの職場は年功序列の給与体系で、お客様からの感謝が自身の対価に繋がりにくい環境でした。その点でM&A仲介は、感謝された分だけ対価を得られる職業なので、より魅力を感じました。

 

もう一つの理由は何でしょうか。

岩下:妻の実家が100年超の歴史をもつ老舗の会社を営んでいるのですが、妻を含めて子どもたちに会社を継ぐ意思がなく、後継者が決まっていない状態なんです。

社長である義理の父も相談する相手がいないと仰っていて、M&A仲介のダイレクトメールなども、返事こそ出さないが捨てずに取って置いているそうです。

 

それまで新聞紙面などでも「後継者問題」は目にしてきましたが、身近で後継者問題を目の当たりにすることで「自分がM&Aアドバイザーとして解決できれば、大きなやりがいを得られるのでは」と、M&A仲介を目指すきっかけとなりました。

 

M&A業界のなかでfundbookを選んだ理由を教えてください。

岩下:創業6期目ながら、業界内でも飛ぶ鳥を落とす勢いの成長速度が魅力でした。

また面接を通じて、自分自身で一から十までやろうと思えば叶えさせてくれる環境だと感じられたのも大きいですね。

 

まだまだ社内の体制変更など変化があるフェーズですが、私はもともと「現状維持は衰退」という考えを持っており、変化が大きいことも魅力に感じています。

「変わる」という決断はなにより難しく、変わることができる企業は希少だと思っています。

 

これまで大企業で活躍されてきましたが、fundbookのような若い会社に転職する不安はありませんでしたか。

岩下:大企業に勤めていたからこそ、自分の権限や働き方などで制限がかかる部分が多かったので、ベンチャー気質のある会社のほうが自分の働きたいように働けるスタイルに合っていると思いました。

 

あとは妻に相談した際にも、「不安はない」と断言してもらったのが大きかったですね。

 

現在入社3ヶ月目ですが、会社の雰囲気や働き方についての印象はいかがですか。

岩下:他社では入社2日目から現場へ出ることも珍しくないという話も聞きますが、fundbookは研修体制がしっかりしているので、私のように未経験で入社する人にとってはやりやすい環境です。

自分からアクションを起こすのが前提ではありますが、質問をすれば何でも教えてくださいますし、助け合える文化があると思います。

 

研修が終わったあとはOJTで学んでいくわけですが、そこに不安はありませんでしたか。

岩下:自分でやりたいことを決めて、そこに疑問点が出てきたら周囲に質問をすればいいので、大きな不安はありませんでした。

お客様にアポイントメントをいただいた際は、先輩方が嫌な顔ひとつせずに同行してくださいます。先日も能登半島の端まで行きました。

 

逆に、一人で行きたいと思えば、新人でも一人で向かわせてくれる環境があるので、自分のスタイルにあった方法で取り組めるのではないかと思います。

 

業務面でのギャップはありますか。

岩下:想像していた通りではあるものの、やはり泥臭い部分が多いと感じます。

手紙を書く、コールをするといった仕事も、自分の型を作るまでに試行錯誤を繰り返して、数をこなしていく必要があります。

正解が見えない作業を延々と積み重ねていくので、そこは泥臭いと感じますね。

 

自分の型を見つけて一人前になりたい

証券会社時代も新規開拓を経験されていますが、M&A仲介での新規開拓と異なる点はありますか。

岩下:経営者の方とお話しする際、証券会社のときは金融市況や商品の話が中心でしたが、M&A仲介では経営に関わる話をしなければならないので、その企業毎の業務内容や財務だけでなく歴史や株主なども事前に勉強する必要があります。周辺業界や他社、地域性なども必要ですね。

 

また、証券会社時代と異なる難しさが、大きく2つあると感じています。

1つはお客様との関係構築です。大勢の方は、先ほどお話した義理の父のように悩みはあるのに、中々相談することができておりません。M&Aは世間的にはまだまだ「身売り」というイメージを持たれがちで、歴史ある会社を自分の代で譲渡するなんて相談もしにくいわけです。その点、お客様に悩みを打ち明けてもらうまでの関係作りは難しさを感じます。

 

もうひとつはどんな点に異なる難しさを感じますか。

岩下:もうひとつは、マッチングが前提にある点です。証券会社では自社商品を買ってもらうだけで完結しましたが、M&Aでは買い手の動向や業界の旬・勢いなど「買い手側の視点」も同時に持たないといけません。せっかく悩みを打ち明けていただき、ご決断いただいたとしても買手がいなければ何の意味もありません。

 

売り手側の経営者の方とお話しするときも「買い手の考え方」という視点をお伝えできないと話が進んでいかないので、難しさを感じています。

 

まだ入社間もない時期ではありますが、これまでの仕事と比べて現状で感じているやりがいはありますか。

岩下:お客様ごとに、「どうすればお客様の理解や納得感を得られるか」を考えて資料や会話を組み立てていくので、お客様に理解が深まったとお褒めの言葉をいただくと非常にやりがいを感じます。

SMBC日興証券での顧客折衝力に加え、資料作成はJCBで右も左も分からない状態から学び始めて、作り方・魅せ方を勉強していったので、他のアドバイザーと比べても武器になっていると思います。

 

M&A仲介の業務を通じて、新しく得られそう、または必要となりそうと感じるスキル・経験はありますか。

岩下:経営者の方から頼られるためにも、M&Aや財務会計の知識はもちろん、法律や政策などの知識を身につけていかなければいけないと感じています。

また、M&Aのスキームについても柔軟な発想力を身につけていく必要があると感じています。

 

最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

岩下:ひとつのディール(取引)を成約させる間に、3年働いたくらいの知識量を身につけたいと思っています。

難しいし時間がかかることだとは思いますが、自力を前提として逃げずに一つ一つ考えながら進めることで土台ができ応用力がつくと考えています。

成長曲線を意識し、より多くの感謝を得るために、まずはいち早く一人前になることを目指します。

 

fundbookでは、M&Aアドバイザーを積極的に採用しています。

M&Aアドバイザー 中途採用 / 株式会社fundbook

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