【Professional Story】キーエンス出身者のM&A仲介という選択。「挑戦する不安よりも、現状を変えないことへの不安が大きかった」
営業力が身につき、高い年収も実現できるという理由で多くの方が就職を希望する株式会社キーエンスですが、入社数年以内で転職を選択するケースも少なくありません。
なぜキーエンス出身者は憧れられる環境を捨ててまで、チャレンジングな業界へ挑戦するのでしょうか。
当記事では新卒で株式会社キーエンスに入社し、2020年にfundbookに参画した岩堀に、M&A仲介業界を選択した理由と、入社後のエピソードを聞きました。
<Profile>
岩堀 夏大(いわほり なつひろ)
神奈川県横須賀市出身。東京理科大学卒業、在学中は材料工学を専攻。大学卒業後、株式会社キーエンスに入社し、国内・海外向け大型生産ラインの投資案件などを中心に工場・ビル設備の課題解決に従事。
2020年にfundbookに入社、前職での現場経験を活かし製造業、建設業、ITの分野において多くの企業・経営者様の経営のお悩みや事業承継を支援。
人のためになる仕事を求めて理科大からキーエンスへ
東京理科大学を卒業後、新卒でキーエンスに入社。その経緯について教えてください。
岩堀:出身は理系なんですが、適性や目指すキャリアは営業職と考えていて、技術営業を目指して就職活動を行いました。
THKやジャパンディスプレイ、サントリーなどを受けましたが、営業面で見たときに圧倒的だったキーエンスを選びました。
研究職には進まず、営業で働きたいと思った理由は何ですか。
岩堀:研究を通じた間接的な貢献ではなく、ダイレクトに人のためになる仕事……「現場」で働きたいという思いですね。
キーエンスではどのような営業を経験したのでしょうか。
岩堀:法人営業を担当していました。
「この行程がうまくいかない、この検査がうまくいかない」といった工場の困り事に対して、キーエンスの技術を提案する営業です。
単価で言うと10万円から50万円くらいで、センサーや画像認識のカメラなどを販売していました。
キーエンスのなかでも、提案する商品の幅が一番広い事業だったと思います。
当時は営業成績も良好だったそうですね。
岩堀:30人ほどの営業が働く事業所でしたが、営業目標の達成率は常にベスト3を維持し続けることができ、成果は残せていたと思います。
目標としていた技術営業に就き、営業成績も良好。なぜ転職を志したのでしょうか。
岩堀:営業活動にもある程度自信がつき、数字も出せるようになってきたなかで、その先の昇進やキャリアについて考えるようになったのがきっかけです。
キーエンスは大企業なので上が詰まっており、キャリアアップにも時間がかかります。
日々の業務にもルーティンを感じ始めていて、1ランク上がるのに7、8年の時間が必要になることを考えると、自分の思い描いているキャリアとは異なると思い転職活動を始めました。
挑戦への不安より、現状を変えないことへの不安が大きかった
転職活動ではなにを重視し、M&A仲介を選んだのでしょうか。
岩堀:転職活動は、どれだけ広い業界のお客様に出会えるかを重視していました。
知識欲ではないですが様々な業界を知りたかったので、守備範囲の広い仕事を目指すなかでM&A業界が候補に挙がりました。
また、キャリアアップのスピードと変化度も重視していたので、これから広がっていく業界で夢があるところにも惹かれましたね。
M&A業界のなかで、fundbookを選んだ決め手を教えてください。
岩堀:業界のなかで一番伸びているベンチャーだったことです。
挑戦するのであれば、上場企業よりもこれから作っていく環境に身を置きたいと考えていたので。
あと、テクノロジーとの掛け算で挑戦していくfundbookが、トップへ向けてどう進むのかにも興味を持ちました。
大企業からベンチャーへ転職することに不安はありませんでしたか。
岩堀:もともと保守的な性格なので、不安はありましたね。
ただ、それ以上に現状を変えないことに対して、不安を感じていました。
一般的にも自分の性格的にも、年齢を重ねるほどチャレンジしづらくなると思うので「今のタイミングしかない」と踏み出しました。
fundbookへ入社する前と後でギャップはありましたか。
岩堀:入社前は「個人事業主の集団」というイメージを持っていたので、思っていたよりも組織立って活動していると感じました。
他部署の皆様も案件化のサポートをしてくれますし、買い手企業に対してプラットホームを提供して囲い込んでいるのも印象的でした。
あと、入社当時はとくに社員の平均年齢が低かったので、気が合う人も多くて良い環境だと思いましたね。
几帳面で、思慮深い人のほうが成果を上げられる
入社から2年半が経ちました(2023年2月現在)が、M&Aアドバイザーのどの部分に魅力ややりがいを感じますか。
岩堀:やっぱり様々な業種、規模感の企業の社長さんとお話できることです。
置かれている状況が似通っていても、どのような経営判断を下すかは会社によって全く違います。
その判断の理由を紐解いていくと、社長さんの性格だけでなく、会社の歴史なども関係しているんです。
いろいろなエピソードを聞いて、その会社を知ったうえでM&Aのお手伝いをすることに、とてもやりがいを感じますね。
前職と比較して、M&Aアドバイザーとして働くことで新しく身についたスキル・経験はありますか。
岩堀:会計や財務など、会社経営に関する共通言語が身につきました。
あと、自分で受託した企業のPRを考えるのは新鮮ですね。
IMの作成や売り方なども自分で考えるのですが、前職では会社としてマーケティングが確立されていたので、広く裁量権を得られている実感があります。
IM:企業概要書。譲渡企業の詳細情報などをまとめた資料
岩堀さんはすでにいくつかの案件を成約に導いていますが、成功要因はなんだと思いますか。
岩堀:M&Aは長いディールになるので、お互いにストレスや損が生まれないよう、伝え方について深く考えました。
周りの人と、どれだけ気持ちよくコミュニケーションを取れるかが大切だと思っていますね。
あとは、わからないことはきちんと聞いたからこそ、前に進めたと思っています。
日々の業務のなかで意識していることはありますか。
岩堀:会社に行くことです(笑)。
実はこれも社内コミュニケーションのひとつとして重要で、M&Aアドバイザーは地方出張が多いので意識的にオフィスへ顔を出すことが大切なんです。
あとは、社内外を問わず、丁寧なコミュニケーションを心がけています。丁寧さという意味では、お客様へ提出する資料もそうですね。
これまでに難しさや大変さを感じた仕事ははありますか。
岩堀:サポートで入った案件なのですが、お客様の所有資産がとにかく多く、書類も整っていない状態で、それを明らかにしていく作業は大変でしたね。
膨大な書類のなかで、どれが必要な資料なのかを買い手側や評価団体に確認しながら作業を進めていったのですが、先輩に教えてもらいながら何とか進めた仕事でした。
岩堀さんから見て、どんな人にM&Aアドバイザーの適性があると思いますか。
岩堀:几帳面で、思慮深い人のほうが成果を上げられると思います。
M&Aアドバイザーはルート営業のように顔を出せば仕事が進むわけではなく、訪問先でどんな提案をするかを深く考えないといけません。
また、行動面でも他の営業職とは異なり、数で補うのが難しい仕事です。
私も前職ではルート営業で1日10件くらい訪問していましたが、M&A業界では物理的にそんな数をこなせません。
1件の商談機会が非常に貴重である中で、自分の傾向・強みを掴んでいかなければならないので、考えてから動ける人が向いていると思います。
最後に、今後のビジョンを教えてください。
岩堀:いろんな業界に触れたくてM&Aアドバイザーを目指したので、業界を問わず成約を結びたいですね。
昇格していけば自分が管理側として見れる案件も増えるので、プレイヤーとして経験を増やしていきたいです。