今この瞬間に決断する。大手総合商社からM&Aアドバイザーへの転身で得られた、成果への確かな手応え。
数年後、数十年後と、今の職場環境に身を置き続けた自分自身を想像したとき、あなたはどのような思いを抱くでしょうか?もし、今の環境に対して「危機感」を持ったのであれば、当記事が現状からもう一歩飛躍する大きなヒントになるかもしれません。
現在、fundbookにてM&Aアドバイザーとして活躍している古橋は、伊藤忠商事を前職とする中途入社メンバーです。大手総合商社という安定した環境を手にしていたにも関わらず、業界未経験ながらM&Aアドバイザーへ転身。その背景には、どのような想いがあったのか。転職で実現したかったことやM&Aアドバイザーに求められる素養について聞きました。
※撮影時のみマスクを外しております
<Profile>
古橋 賢人(ふるはし けんと)
北海道出身。現在29歳。北海道大学経済学部卒業。学生時代にはオーストラリアへのワーキングホリデーや、イベント系人材派遣会社やホテルのサポートスタッフなど幅広い職種のアルバイトを経験する。2016年、伊藤忠商事株式会社に新卒入社。情報・金融カンパニー金融保険部門金融ビジネス部に所属し、リテールファイナンスや法人ファイナンス、M&Aエグゼキューションなどを担当。2019年1月、株式会社fundbookへ入社。
常に、「今」と「将来」を複眼で見据える後悔のない選択を
北海道大学の経済学部に進学されたのは、見据えた夢や目標があったうえでの決断だったのでしょうか。
古橋:いえ、実はもともと「これがやりたい」という明確なビジョンがあったわけではありませんでした。当時の自分に合った学力レベルの大学に進学していくのだろうと漠然と考えていたのです。しかし、部活を引退した高校3年生の夏に、顧問から言われた「今受験しようとしている大学ではなく、北海道大学に行きなさい。漠然とした将来だからこそ安易な方向を選択をするな。その意味はいずれわかる。」という言葉に背中を押され、そこから約1年間必死に受験勉強をしました。
明確な夢がある人であれば、他の可能性を断ってでも進むべき道をこれだと確信することができるかもしれません。しかし、そうではないからこそ、「将来」をより冷静に見据えて、「今」の時点でより多くの道を歩むことができる選択をしなければと思ったのです。そのなかでも、北海道大学は有名大手企業に就職している卒業生を多く輩出していましたし、経済学部であればビジネスの基礎能力を身につけることができると考えました。今振り返ってみても、あのとき恩師の言葉を信じてチャレンジしたことは私の人生の幅を広げてくれました。とても感謝しています。
学生時代は、学業と並行してアルバイトやワーキングホリデーなども経験されたそうですね。
古橋:将来を見据えて「今」を選択するために、社会人と比べて比較的時間を取りやすい学生時代だからこそ経験できることに全力で取り組みました。アルバイトで幅広い職種を経験しようと、飲食店やイベント系人材派遣会社のマネージャーをはじめ、結婚披露宴のサポートスタッフや模擬結婚式のモデルとしてバージンロードを歩いたりしたことも。50回以上は歩きました。(笑)海外では、約100人のスタッフのうち日本人は私一人だけという環境で販促営業を行いました。とても貴重な経験ばかりでした。
ワーキングホリデーでは、1年間ほどオーストラリアに滞在したり、中華人民共和国をはじめとしたアジアの各国を長期間で渡り歩きました。このような経験を通じて、世の中のこと、そして自分自身のことを知る機会になったと感じています。
就職活動では、どのような点を重視していましたか。
古橋:幅広い業界のお客様と接することができること、そして大学で学んだ経済の知識を活かせることを加味した結果、コンサルティングや金融、商社業界を候補として選考することにしました。
なかでも伊藤忠商事に決めたのは、このタイミングならではの選択肢ではないかと思ったためです。総合商社から金融業界やコンサルティング業界への転職事例は数多ですが、その逆の事例は数少なく、狭き門になり得るということを知りました。「より多くの選択肢が拓けるのは総合商社なのではないか。また、グローバル企業の中で実際のビジネスがどのように動いているのかリアルに見ることができるうえ、ビジネスパーソンとしての基礎力も同時に身につくのではないか」と考えました。そういった背景のなかで、将来を見据えた最善の選択肢として、総合商社へのチャレンジを決心したのです。
決められた枠組みの中で働き続けることへの「危機感」と、M&Aアドバイザーへの転身
伊藤忠商事では、どのような事業を担当されていたのでしょうか。
古橋:事業の大きな柱として、「トレーディング」と「事業投資」がありました。
「トレーディング」は、あらゆるモノの需要と供給を結びつける、いわゆる貿易の仲介業務です。その仲介手数料や売買の差額で利益を得ています。
一方で私が担当していた「事業投資」は、成長企業に投資を行い、資金面だけでなく人材派遣やノウハウの提供などの経営サポートを通じて企業価値向上を共に目指すビジネスです。決算の連結で生じた利益や株式を保有することで分配される配当金で収益を得ています。また、グループ企業間で協業し、ノウハウを共有し合うことで新たなシナジーを創出させることも大きな役割です。ときには、業界相関図を大きく塗り替えるような国を超えたシナジーの発揮を感じることもありました。
そのような社会にインパクトを与える壮大なスケール感の仕事に関わるチャンスが、若手にも余すことなく広がっていたことが実に魅力的でしたね。「いつか日経新聞の一面を飾るような仕事に携わりたい」と当時の部長がふいに話していたことに、素直に”かっこいい”と感じたのを今でも鮮明に覚えています。そのようなメンバーと切磋琢磨する日々は、やりがいもあり充実していましたね。
充実していた日々から転職を意識されたのは、どういった背景があったのでしょうか。
古橋:当時、社会的に広まり始めた「働き方改革」を、伊藤忠商事は先進的に取り入れていました。こういった先進的な取り組みにも魅力があり、伊藤忠商事への就職を選んだものの、コンプライアンス遵守のために、徹底した残業時間の削減なども同時に呼びかけられました。
業務外のプライベートの時間が増えたことで「多くのことを吸収できる20代のうちに、もっと経験できることがあるのではないか」「枠組みに囚われずに、自分自身をもっと磨き続けることができる環境に身を置くべきではないのか」。そのような危機感も同時に抱くようになったのです。人間ゆっくり考える時間があると様々な選択肢も見えてきてしまうものですね。まだ20代だったこともあり、思い切って別の環境に飛び出してみようと思った気持ちも正直ありました。
そういった危機感や思い切りから、転職に興味を持たれたのですね。
古橋:自分の時間が増えたとき、この状況がもったいないようにふと感じたのです。
ビジネスは、目の前のお客様への貢献を通じて、社会や経済に貢献することが本質だと思います。ビジネスマンとして1日1日を過ごすのであれば、どのぐらいの時間で働いたのかよりも、どのような成果を出すことができたのかを評価される環境に身を置いたほうが、スキルを高めることができるのではと考えました。
そして、前職でも携わっていた金融関連の企業でしたら経験が活かせると考え、M&A業界を転職先の候補にすることにしたのです。
未経験業界への転職という英断と、その後の活躍
M&A業界のなかでもfundbookを転職先に選んだのは、なぜでしょうか。
古橋:前職のグループ企業への出向経験から、一度は大企業ではなく成長の伸び代が比較的大きい中堅・中小企業で働きたいと思っていました。数多くの案件に主担当として携わり、責任感とやりがいのある仕事をしたいと思ったこと、そして経営管理や経営企画に興味があるため、マネジメントのスキルを高めたいと思いました。大きな組織に転職すれば、前職と同じくプレイヤーとして20代を過ごすことになりますが、ベンチャー企業や成長企業なら、成果次第で若手でもマネジメントを経験できると考えました。
なかでもfundbookは、面接での社員の方とのお話を通じて、メンバーそれぞれが大きな存在感を持って働いていると感じました。同業他社の選考にも進みましたが、成長段階のタイミングならではの勢いと情熱が魅力的でした。また、M&A業界において中途採用は即戦力を求める企業が多い傾向ですが、fundbookは厳正な採用方針でありながら、業界未経験者でもポテンシャルを重視して積極的に採用していたため、そういった多くのチャンスを与えてくれる環境も入社の決め手となりました。
業界経験メンバーも在籍するなか、入社から約2年で売上TOP10入りを果たされていますね。
古橋:先輩方に恵まれた結果です。商社時代に携わっていたM&A業務と、fundbookでM&Aアドバイザーとして担当するM&A業務とでは、対象企業へのケアすべきところが大きく異なるのだと教わりました。それは、財務状況を表す数字などの論理的な側面だけではなく、オーナー様の想いにも寄り添っていくという情理的な側面も同時に求められることです。
100年以上続いてきた我が子のような企業を自ら手放してしまっていいものかと、葛藤されるオーナー様と向き合うこともあります。どんなに経済的なメリットが大きい話であっても、それだけでは決断に至ることはありえません。M&Aアドバイザーとしてオーナー様の想いに寄り添った提案を追究したことが、結果につながったのだと思います。
古橋さんは、事業承継案件の他にも、ガスや警備業界を中心とした業界再編案件、若手オーナーの成長戦略案件や異業種マッチング案件など、様々な種別、そして譲渡・譲受企業双方の担当を経験されています。活躍するうえで特に意識されていることはありますか。
古橋:気持ちのケアに繋がってくる部分としては、オーナー様にいかに深く理解していただける言葉でご説明するかを意識しています。多くのオーナー様にとってM&Aは初めて経験することですので、不安になられることがほとんどです。それにも関わらず、こちらがただ専門用語を並べて合理性だけが示されたご提案をしても、真の意味でお客様に貢献することはできないと思っています。どれだけオーナー様の目線に合わせて寄り添うことができるのか、そういった情緒的な繋がりも大切なのがM&Aアドバイザーの仕事だと感じています。
一方で、条件面の調整能力や交渉スキルなどは、プロのM&Aアドバイザーとしてしっかりと務めなければならない部分。譲渡・譲受企業の双方が心からご納得いただけるような柔軟性を持ったスキームをロジカルにご提案していく必要があります。M&Aは案件の数だけ、その企業に合った最善のスキームがあります。理論と感情とのバランスを汲み取ってベストな提案ができるのは、M&Aアドバイザーならではのやりがいだと思います。
成長段階のfundbookと共に進化していくやりがい
fundbookには、どのような社風を感じますか。
古橋:仕事のやりがいと、社員同士高め合う社風を日々感じています。以前は、大きな組織のなかで良くも悪くも「会社からの評価に対して、実際の活躍はどのくらいなのだろう?」と明確な成果を感じることができませんでした。しかしM&A仲介のビジネスは、担当したお客様の成功が自身の成果や評価に直結するため、携わった仕事へのやりがいを肌で感じることができています。
fundbookは、社員たちのバージョンアップを積極的に全社で支援し、共に進化していくカルチャーがあります。先日自己研鑽の一環で、M&Aアドバイザーの実務に関わる資格を取得したのですが、会社制度として資格補助の対象にならないかと提案したところ、すぐに導入が決定しました。会社全体に対する改善点などを代表や役員に直接提案できる現場感というのも、fundbookの魅力ですね。
どのような方が、fundbookのM&Aアドバイザーに向いていると思われますか。
古橋:M&Aアドバイザーは、譲渡・譲受企業双方の経営陣だけではなく、親族や従業員、専門家の方々など多くの関係者の想いが関わる仕事です。M&Aに関わる全ての人々が心から納得し、将来への期待感を持てるようなゴールへと共に導くことができるよう、先ほどお話ししたような「バランス感覚」は何よりも大切です。これは、同じく多くの利害関係者に対して調整業務を行った商社時代の経験も少なからず活きているのかなと思います。
加えて、仕事のクオリティを高めるために現状に対しての改善点を思考し、常に変化し続けることも大切です。それは、自分自身のスキルにおいてもそうですし、仕事の進め方から提案内容などの個人の側面と、会社の制度などの組織の側面の両方に当てはまります。現状に満足することなく、より良くするために何ができるのかを見つけ続けることができる人が活躍するのではないでしょうか。
今後、世の中が変化していくスピードがますます加速し、多くの企業がM&Aを経営戦略における選択肢の1つとして検討する時代になっていきます。M&Aアドバイザーとしても、今までのスキームを型通りに焼き増ししていくのではなく、より新しい形のサービスを提案していく力が必要になるでしょう。
fundbookは、変化していくニーズに応じてチャレンジを続けていく企業ですので、私自身も「このように価値を提供していきたい」と新サービスを自ら企画していくような心持ちで業務に取り組みたいと考えています。
最後に、fundbookへの入社を希望している方へメッセージをお願いします。
古橋:fundbookには、常に自分自身を高めようと努力を怠らないメンバーばかりが集まっています。そのような仲間たちと高め合う日々はとても刺激的です。個性豊かなメンバーが揃っているため、自分1人で凝り固まりそうになった考えに対して、別の視点からハッとするアドバイスをしてくれることもあります。
大手総合商社から、業界未経験でM&Aアドバイザーへと転職するのは確かに勇気のある決断でした。しかし、その一歩がなければ、きっと今も私は「もっとできることがあるのでは」と想像するばかりで悶々としていたかもしれません。今、この瞬間に決断をすることで、より多くの可能性を手にすることができる未来があるとするならば、ぜひ勇気を出して挑戦してみてはいかがでしょうか。